「Nothing Phone (1)」はスマートフォン市場に革新を起こせるか:創業者カール・ペイが目指していること

 
「2021年はウォーミングアップにすぎなかった」と言われたら、どう感じるだろうか。22年には脅威的な存在になる、という宣言に聞こえるのではないだろうか──。
これは実は、スマートフォンなどを手がける英国のNothing Technologyからの最新のニュースに潜むメッセージである。同社はスマートフォンメーカーのワンプラス(OnePlus、万普拉斯)の共同創業者として知られるカール・ペイ(裴宇)が新たに立ち上げたスタートアップだ。
ここで言う「ウォーミングアップ」とは、21年に発売されたイヤフォン「Nothing ear (1)」のころだ。Nothing ear (1)は、当時は新しいブランドだった同社の製品第1弾である。
そしてペイが第2弾の製品として用意してきたのが、スマートフォンだ。その名称は非常にわかりやすく、「Nothing Phone (1)」である。

「退屈な業界」に挑む

カール・ペイに話を聞いてみると、テクノロジーに関しては興奮と同じくらい不満が伝わってくる。
「いまの時代、誰もがテクノロジーに対してあまりにも無感動になっています。コンシューマー向けハードウェアの分野において、どれも基本的に似たり寄ったりの製品ばかりになっているのです」と、ペイは言う。「ますます差異化されなくなり、もう消費者はそれほどわくわくしなくなりました。人々は新製品の発表会を、あまり見たがらなくなっているのです」
とはいえこの発言は、アップルが3月に開催した製品発表会のYouTubeでの再生回数とは開きがある。ペイは2年近く前、新製品の発表会を観るのはずいぶん前にやめたと『WIRED』のインタビューで語っていたが、確かに彼の言い分にも一理ある。
スマートフォンの世界で最も急成長を遂げているのは中国の大手メーカーであり、これらの企業は低価格なサブブランドを展開しながら需要を食い合っている。OPPO(広東欧珀移動通信)、realme(真我)、ワンプラス、Vivo(維沃移動通信)は、すべて同じグループに属しているのだ。
こうしたブランドには、不気味なほど見覚えのあるモデルが揃う。しかもその類似性は、異なる名称やカメラの格納方式、仕上げの違いによって覆い隠されている。
シャオミ(小米科技)が手がけるスマートフォンのシリーズである「Redmi」と「POCO」は、今年もきまりが悪いほど同質化している。例えば「POCO X4 Pro 5G」「Redmi Note 11 Pro 5G」は、一部の表面的な違いを除けばほとんど同じ製品だ。この2022年には、イマジネーションが不足しているのである。
こうした活気のなさに、あなたはうんざりしているだろうか。うんざりしているはずだと、ペイは考えている。「いま、この業界はとても退屈で活気がありません。そこでわたしたちは目新しいものをひっさげて、状況を大きく変えようとしているのです」と、彼は言う。
HTCやLGエレクトロニクスのような大企業が倒れた業界で、Nothingのようなスタートアップが解決策になりうると主張するとは、尋常ではないほど大胆だ。そしてその大胆さは間違いなく、ペイがワンプラスで手に入れた成功に支えられている。
とはいえNothing Phone (1)は、少なくともポップコーンを片手に見物する価値はある。
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