[読書]「デザイン思考」を超えるデザイン思考(Harvard Business Review)

知人が編集を手伝った記事が掲載されていると聞いてHarvard Business Reviewを早速購入してチェックしてみました。 4月号のp.28から。 知人の上司であり、記事の著者である濱口秀司氏は、USBフラッシュメモリのコンセプトをつくるなど様々なイノベーションをサポート。 商品の外見のデザインにとどまらず、ビジネスの戦略まで手掛けるビジネスデザイナーです。 知人を通して存在を知って、こっそりネットストーキングしています(笑)。

そんな濱口氏の今回の記事のテーマは「真のイノベーションを生むための手順とは」でした。

専門家のバイアスを破壊し、スムーズに導入するための方法論

記事の要旨としては、下記の通りでした。

記事では、これらの手法が詳細に記載されています。

コンサルのテクニックに似ている

この考え方ってすごくコンサルの方法論に似ています。

例えば、有名なGrowth-Share Matrixは、自社の事業を「市場の成長」と「市場のシェア」の2軸で分析するフレームワークです。 これは、どの事業から撤退すべきか、どの事業にフォーカスすべきか、という事業ポートフォリオを判断するために活用されます。 このフレームワークのポイントは、その企業のもつ事業ポートフォリオをひとつひとつ観察することで、事業ポートフォリオにとって重要な「軸」を明確化し、議論を一段高い段階に持っていくことで、客観的でロジカルな判断が可能になっていることです。 このフレームワーク自体よくできているものですが、コンサルの仕事としては物事を俯瞰するための「軸」を見つけ出すことが重要な仕事の一つです。

濱口氏の考え方では、まず商品アイディアについてブレインストーミングを行い、アイディアの中から切り口を発見する。いくつか見つけた切り口から構造化を行い、それをフレームワークとする。USBメモリを開発した際には、最終的に「取り扱いデータの大小」と「体感できるかどうか」の2軸を残し、インターネットストレージとの比較の中でUSBメモリを提案したそうです。

この2つの考え方は、具体的事象から抽象的な共通項を見つけ出し、そこから新しい具体的事象を発見するという意味で、非常に共通点が多いです。

顧客のニーズや意思決定の促し方は、ぜひとも取り入れたい

往々にして斬新なナイスアイディアなんてものは受け入れられません。 主たる理由は、「それって売れるの?」「投資した意味はあるの?」という点です。

濱口氏はこうした問いに対して、「完全なる最終商品に見えるプロトタイプ(β100)」を作り、必要であれば模擬店舗まで作って顧客を100人呼び定量的・定性的に「本当に購入するのか」を観察します。

実際のところ、ぼく個人としては「顧客とディスカッションしながら商品/企画を作る」方が慣れていて、ステークホルダーの懸念点の整理と納得感の醸成をするほうが得意だったりします(最近、忙しすぎてちゃんとできてないところでもありますが・・・)。ここは考え方次第なんだと思いますが、コストダウンとかは比較的数値的評価がしやすい一方で、その他のほとんどすべてのことは数値評価が非常に困難な上、その数値が含むブレを顧客がどう判断すべきかというのは非常に難しい問題です。

後のページのIDEOの記事には「導入」にフォーカスした内容が

似たテーマでIDEOのCEO Tim Brownが記事を書いているのですが、こちらはより「導入」にフォーカスした内容になっています。

「それ本当に売れるの?」という観点にとどまらず、導入にあたっての様々な困難に対するIDEOの対処法が記載されています。具体的なインテルコープをはじめとした事例は、なかなかに示唆的でした。こちらも面白いので読んでみると面白いと思います。

Harvard Business Reviewは面白そうなときにたまに買っているんですが、今回の「デザイン」に関する特集は、ぼくの問題意識に近いところもあり非常に興味深かったです。